
目次
- はじめに:よくある“矛盾した苦情”
- キャンセル常習者の特徴とは?
- なぜ予約が取れないのか?という誤解
- 本当にスケジュールに合わせたいなら、やるべきこと
- トレーナーとして伝えたいこと
- まとめ:予約は「権利」ではなく「信用」でできている
はじめに:よくある“矛盾した苦情”
「希望時間がいつも埋まってるんですけど、予約取れないんですか?」
そんな声を、これまで何度となく耳にしてきました。
ただ、スケジュールを確認してみると…その方の過去の履歴には直前のキャンセルが複数回。
そして驚くべきことに、キャンセルの多い人ほど予約時間に細かい希望を出してくる傾向があります。
一見、ただの“要望”に見えるこの行動。ですが、パーソナルジムという現場では、他の利用者の機会を奪う行為にも繋がりかねません。
キャンセル常習者の特徴とは?
パーソナルトレーニングジムは、完全予約制・マンツーマンである以上、「枠の管理」が非常にシビアです。
1枠を誰かがキャンセルすれば、そこはもう空白の時間。他の誰かが入りたくても入れなかった枠になるのです。
そして、次のような方に限ってキャンセルが多くなりがちです。
- 「急に仕事が入って…」が口癖になっている
- キャンセルした後も、別日をすぐに確保しない
- 予約を自分の気分次第で入れたり抜いたりしている
特に多いのが、「体調不良」や「急な仕事」など、ご本人にとっては正当な理由であっても、高頻度で起きてしまう方。
ここに悪意があるわけではないのですが、“結果的に”信用を失っていることに気づかれていないのです。
なぜ「予約が取れない」のか?という誤解
このような方が「希望時間に予約が取れない」と訴えるのは、ある意味当然のことかもしれません。
しかし、ジム側からすると、その理由はとてもシンプルです。
予約が埋まっているのではなく、“信用が積み重なっていない”だけ。
例えば、毎週決まった曜日・時間に通い、キャンセルせず、時間通りに来てくださる方がいるとします。
そうした方には、自然と“優先的に空き枠を案内”したくなるのが人情です。信頼があるからです。
一方、キャンセルが多く、連絡も遅れがちな方に対しては、仮に空きがあっても「また直前にキャンセルされるかも」という不安がよぎります。
その結果、“枠が埋まっているように見える”状態が生まれるのです。
本当にスケジュールに合わせたいなら、やるべきこと
予約が思うように取れないと感じるなら、まずは以下を見直してみてください。
- キャンセルを減らす努力をする
どうしても避けられない事情は仕方ありません。ただし、習慣化していないか?は自問してみる価値があります。 - 予約確定後は、その時間を“優先スケジュール”に設定する
他の予定と同等ではなく、トレーニングの時間を“守るべき約束”として扱う意識が大切です。 - 無理に要望を通そうとしない
「この時間しかダメなんです!」と毎回主張していると、トレーナー側も身構えてしまいます。柔軟な姿勢は、信頼を築く第一歩です。
信頼とは、一方通行では築けません。
トレーナーとして伝えたいこと
ジムを予約制にしているのは、あなたのために時間と空間を確保しているからです。
それはつまり、「1時間○○円」の対価以上に、“その時間に集中して向き合う”という価値が込められています。
その価値を軽んじる行動、たとえばキャンセルや直前の変更を繰り返すことは、信頼関係を揺るがします。
もちろん、誰だって予測できない出来事は起きます。でも、“日常的な行動”にその人の姿勢が現れるのです。
トレーナーとして思うのは、「要望を伝えること自体が悪いわけではない」ということ。
ただしそれは、“誠実さの上にあるリクエスト”であってこそ、意味を持つのです。
まとめ:予約は「権利」ではなく「信用」でできている
予約枠は、早い者勝ちの取り合いではありません。
日々の積み重ねによって得られる“信用の証”だと、わたしは考えています。
そしてその信用は、キャンセルの少なさや時間厳守、そして柔軟な姿勢といった“地味だけど誠実な行動”によって築かれていくもの。
予約が取れないことに対して不満を感じる前に、ご自身の行動を一度振り返ってみてください。
トレーニングは身体を変えるだけでなく、生活の姿勢を見直すきっかけにもなります。
自分を律する習慣を持つことで、結果的に、あなたにとって最適な環境が開かれていくはずです。
筆者プロフィール

別府 敬祐(べっぷ けいすけ)
大阪・上本町の隠れ家的パーソナルジム「Pure」をひとりで運営する、NSCA-CPT認定トレーナー/上級心理カウンセラー。
大手ジム3社での勤務経験を経て、運動が苦手な初心者や、自信をなくした方専門のサポートに特化。
かつて職場での人間関係により適応障害を発症し、社会から離れた経験がある。その際、担当医のすすめで再び運動を始めたことが、心と体を立て直す大きなきっかけに。自らの経験をもとに、「頑張れないときこそ、運動が心を救うことがある」と実感し、同じように不安や迷いを抱える人たちの力になりたいと独立を決意。
現在は、トレーニングだけでなく、心理面への理解を活かした寄り添う指導で、「怖くて一歩が踏み出せなかった方」が安心して続けられる環境づくりに力を注いでいる。
【保有資格】
NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
ダイエット検定1級/2級(日本ダイエット健康協会)
上級心理カウンセラー(JADP認定)